ネット小説 【リィンの空】 終章

第3章【2】 ネット小説【リィンの空】 後日談【1】-1

 

 手を差しのべられた時から、世界が変わった。
 寒さに凍えることも、おなかがすくことも、なくなった。
 なにより、心が凍りつくことが、ぷつりと途切れた。

 

(僕はアレン)
(きみを迎えに来たよ)

 

 リィン、と。
 あの時、初めて呼んでくれた。
 歯車がゆっくりと、回りはじめた。あの時も雪が降っていた。リィンの頭や肩に、雪が淡く積もっていた。

 

「つもった雪は……自分で払うしか、なかったの」

 

 リィンは窓越しに、空を見上げる。
 冷たさを、だれかが暖めてくれるなんて、想像もしていなかった。
 そして自分も、誰かを暖めることができるのだと。

 

「だからね、アレン」

 

 小さく、扉が開く音がする。リィンはゆっくりと、振り返る。
 リィンの姿を目に入れて、アレンの両目が見開かれてゆく。

 

「アレンの、血で冷えきった体を、暖めてあげたいと、思ったの」

 

 リィンは微笑む。呆然として動けないアレンに、近づいてゆく。
 いま、一番、伝えたい言葉。

 

「おかえりなさい」

 

 リィンは両腕を伸ばして、アレンを抱きしめた。

 

 

 

 

神様。

まだ自分に、祈る資格が少しでも、残されているのなら。

 

このぬくもりが、この先も決して、凍えることのないように。

悲しみに包まれることの、ないように。

 

僕が命を懸けて守る先に、

リィンの幸せが、ありますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

第3章【2】 ネット小説【リィンの空】 後日談【1】-1

 

 

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