ネット小説 【リィンの空】 後日談(3)-1

後日談【2】-4 ネット小説【リィンの空】 クリスマス企画2013 掌編

 

 たとえば、雪の朝。

 

 のそのそと、ベッドから降りる。身震いしながら、着替える。足音を立てないように、そろそろと、キッチンへ行く。
 鍋の中のあたたかいコーンスープをかき混ぜる。アレンの好きな、ほっこりしたカスタード色。パンを軽く焼いて、バターを塗る。ベーコンをカリカリに焼く。
 そうこうしている内に、ダイニングの扉が開いて、優しい声が届く。

 

「おはよう、リィン」
「おはよう、アレン」

 

 アレンはダイニングの暖炉に火を灯す。
 橙色の火が、炎を照らす。その横顔を見るだけで、幸せだ。

 

 

 

 

 

 

 たとえば、休日の昼。

 

 アレンが買い物に連れ出してくれる。真っ白のセーターと、赤いスカートを買ってくれる。試着すると、「可愛いよ」と言ってくれる。
 洋服よりも、アレンと一緒に歩けることが、嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 たとえば、静かな夜。

 

 アレンには、眠れない夜がある。そんな時、リィンはとても眠くても、気づいてしまう。そわそわして、眠れなくなる。
 燭台を片手に、階段を下りると、ソファでアレンがくつろいでいる。暖炉の光を頼りに、静かに、本を読んでいる。
 本、と言っても、分厚いノートだ。びっしりと、手書きの文字が刻まれている。

 

「ああ、リィン。眠れないの?」

 

 アレンが言う。眠れないのは、リィンではない。

 

「何してるの、アレン」
「ちょっとね。リィンはもう寝た方がいいよ。明日に障る」

 

 わずかに微笑むと、アレンはすぐに、本に目を落とす。
 リィンは、胸が疼くのを感じた。
 分かってる。こういう時、アレンはリィンに壁を作る。
 アレンには一人になりたい時間がある。
 だからこそ、『孤独』はいつまでも、アレンの中に棲み続ける。
 寂しいな、と思う。
 リィンは一人になりたくない。ずっと、アレンと一緒にいたい。

 

「アレン」
「何?」
「隣に行ってもいい?」

 

 アレンはわずかに目を丸くした。
 それからノートをぱたりと閉じて、微笑んだ。

 

「おいで」

 

 差し伸べられる、手。
 リィンは嬉しくて、その手を握りしめて、ソファに身を沈めた。

 

 

 

 

 

 例えば、最期の時がきても。

 

 リィンはアレンの隣にいたいと願う。
 どうしてアレンでなくければ駄目なのか分からない。
 でも、触れあうと幸せなのだ。
 声を聞くと、幸せなのだ。
 だからいつまでも、一緒にいたい。

 

 別れなんてないのだと、永遠に、信じていたい。

 

 

 

 

後日談【2】-4 ネット小説【リィンの空】 クリスマス企画2013 掌編

 

 

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